東山魁夷著 「風景との対話」を読んで
今、東山魁夷著「風景との対話」を読んでいる。これは私のような絵を学ぶ者にとって非常に有益な本である。大方の人が壁に打ち当たるひとつとして、写生から次のステップとして、対象をどう見て、どう表現すべきか、感動を個性ある表現にするプロセスがよくわからない、が挙げられるのではないだろうか。最近巷に水彩画の本は沢山並んでいるが、ここまで踏み込んでわかりやすく著わしている本は少ないように思う。
例えばこの本の第二章「冬の山上にて」では、東山さんの初期の代表作「残照」について風景との出会いから制作過程までを、当時の画伯の生活の状態も含めて説明している。文章からお人柄も感じられ、あの「残照」の素晴らしさがより鮮明になる。東山さんは絵も素晴らしいが、文章も一級品である。
東山さんは既に他界されてはいるが、残された絵画全集や随筆集は私の最良の教科書である。私はいい時期に東山さんと出会い感謝している。
「風景との対話」新潮社刊
残照
北京散歩-2004
中国歴代王朝の古都を西安と河南省に訪ねる旅 2016年5月
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